あかりみらい通信 カーボンニュートラルの実態

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自治体首長様
カーボンニュートラル担当者様

過日、久しぶりに環境省環境計画課と環境経済課を訪ねて来ました。
カーボンニュートラルの現実の姿や現場での戸惑いなども伝え、自治体へ具体的な指標や方法論を伝えないことにはせっかく張り切っている皆さんがやる気をなくしますよと話してきました。
ゼロカーボン北海道の標語の元、北海道の自治体全てがゼロカーボン都市宣言をするよう道からの働きかけがあったそうで、すでに4月末で63市町村が宣言しています。環境省のホームページでゼロカーボン都市宣言を検索すると北海道のものすごいやる気とアピール効果を見ることができます。
環境省ホームページ「2050年 二酸化炭素排出実質ゼロ表明 自治体」
さて、しかしながら本当にこれで良いのでしょうか。議会にも町民にも宣言をしたなりの成果をお見せしないことには後で恥ずかしい思いをするのではないのでしょうか。宣言する以上有言実行しなくては。北海道の13年実績7369万トンを30年に3390万トン減らすのが目標です。ではどうする。


現実的な方策はなにか

添付の道内誌に連載していますが、カーボンニュートラルは1997年京都議定書以来の地球温暖化対策の焼き直しです。すでに25年間も行ってきた対策にいまさら決定打も革新的方策もありません。

新聞報道によると、4月4日に国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が新たな報告書を公表。「私たちには道具もノウハウもあり、行動を起こす時だ」と2030年の温室効果ガスの半減を強調。一方では、グテレス国連事務総長は「人類が住むことができない世界へ導く空虚な目標だ」と強烈に批判し「これまで示された目標がすべて実行されてもパリ協定が目指す姿に届かず、各国目標は『恥の記録だ』」とまで言い切ったそうです。ミもフタもないですがIPCCの「飛行機の旅を減らす」とのアイデアフラッシュを見ると、グレタトゥーンベリさんのヨットでの大西洋横断を思いだします。哲学論争でなく科学的、経済的議論が必要です。

今から想像されることですが、絞り切った雑巾を絞るような省エネ拷問はやめましょう。道庁の昼休みは東日本大震災以来いまだに真っ暗な中でお弁当を食べています。お気の毒に。コロナで辟易した根拠のない同調圧力のように、ネオンを消して空調を制限して景気を冷やすような政策にするならばやらない方よいと私は思います。
実効性のあること、経済循環性のあること、ビジネスチャンスを生み出す新産業と規制緩和を選択していくべきです。北海道は多様な取り組みのショーケースとして各自治体ならではの特徴ある方策をアピールすべきです。

日本ではやれることと経済的に価値のある事はすでに実行されてます。しかも、ここのところ太陽光や風力のFIT買取価格は下がり、バイオマス発電や小水力なども北電から系統連携を拒否されています。再生エネルギー由来の電気を契約する新電力会社は原油高で次々と倒産しています。電気自動車は北海道の冬には実用に適してないためハイブリットカーに公用車を切り替えるのは現実的ですが、半導体問題で新規納車が1年以上かかるとの情報もあります。役場庁舎の新築は最新技術のZEBで行けるのは間違いありませんが建材資材の高騰で何割も高い建物になりそうです。

一方でロシアのウクライナ侵略に伴う原油高は自治体財政の大きな悪化をもたらしています。燃料費調整制度で原油が上がれば自動的に北電の電気料金は上がります。皮肉なことに、なによりの省エネ策は電気料金とガソリンの値上げなのです。エネルギー節約についての方策は、カーボンニュートラルに惑わずに経済優位性のあるものから取り組むべきです。


LED化が1丁目1番地

そう考えると、今すぐできて経済的に最も必然性のある最良の対策はあらゆる公共施設のLED化です。カーボンニュートラル担当者は自分の街の公共施設と街路灯すべてを一気にLED化してしまうとどれだけのエネルギーが節減されてどれだけのCO2が減るかを試算すべきです。その方法もありプログラムもあります。相談いただければ6月議会までには首長へ報告できます。
1997年の京都議定書のときには私は電気事業連合会の副部長としてその経緯を見守りました。今よりはるかに真剣な議論があり、今よりヒステリックにあらゆるエネルギーを節約し乾いた雑巾を絞るような議論が続きました。その時と今とで違うのは青色発光ダイオードの発明でLEDが商用化されたことです。当時は照明の間引きとこまめな消灯しか方法がなかった照明分野で70%から80%もの節電ができて大きなカーボンを減らせるのがノーベル賞をとったLEDの発明だったのです。政府は2030年に政府全施設の100%LED化を閣議決定しています。皆さんの自治体でも7年間で施設を計画的に変えていけばよいと言う方もいらっしゃるようですが、無理です。
今、東京23区のある区長から250施設のLED化の試算を依頼されています。約16億円のLED化費用で、削減電気料金が年3億円、リース支払い後で年間約8千万円の財政効果があり、約4000トンのCO2削減が試算できています。ただしこれはリースならではの単価試算であり、1件1件を建築公共単価で見積もる競争入札では3倍程度の公示価格になると思われます。担当職員が物価本をめくりながら250回の稟議と競争入札を本当に行うのか。ここで画期的な提案は建築入札ではなくリース入札で、ただの1回の議会提案で終わらせるという方法です。この文字通り革命的行革スキームでなければ、経済的にもマンパワー的にも全市一括LED化工事はオペレーションできません。

東京や大阪の自治体の試算をしていて気づくのは北海道に比べて投資効果が悪いことです。北海道だと5~6年で元をとるのに東京、大阪では7~8年かかります。北電の電気料金が東電より25%、関電より30%近くも高いからです。逆に言えば日本で一番高い電気料金を払いながらまだ80%の省エネで元のとれる省エネ投資をやっていないのは不思議です。自分のお金を使わずに街中が明るく安全になって新たに財政に使える余裕ができる。いままで定価で垂れ流していた修繕費が10年間かからなくなる。地元の電気工事業界には特需。いますぐ財政とカーボンニュートラル担当にご諮問ください。


チャンスとタイミングと決断

よく「うちの町は計画的にやっている」と聞きますが、2030年を目指しているのですか。今、あらゆる物価が上昇しており蛍光管もこの4月から3割の値上げとなりました。2020年予定だった安定器の生産終了は照明メーカーにより突然1年前倒しになりました。あのとき「あと6年は生産を続ける」と言っていた蛍光管がもしもあと3年で生産終了してしまったらどうすればよいのでしょうか。計画的の判断の前提に入っていますか。
半導体の値上げなどでLEDの値段も1割から3割上がるとメーカーから予告されています。あらゆる情勢で、省エネ投資は1日も早く行った方が良いのです。光熱費予算からリース予算に組み替えておつりがくるのだから年度途中の臨時議会で間に合います。

新年度からカーボンニュートラルの新しいセクションを作ったり、横断的対策チームを作ったりして積極的に取り組んでいる自治体も多くあるようです。憚りながら1997京都議定書から2008洞爺湖サミットまで経験してカーボンニュートラルの表も裏も見てきていますので、よろしければ勉強会に伺います。まずは6月の議会に向けてカーボンニュートラルの1丁目1番地である 公共施設の一括LED化のやり方についてのお話を聞いてください。

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