あかりみらい通信 緊急 電気料金対策

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議員のみなさま

あかりみらい越智です。
電気料金が急激に値上がりして社会問題化しています。さらに契約新電力会社の倒産で電力契約が破綻し最低保証料金適用になる企業、自治体が顕れています。自治体議員の先生方は新電力契約の自治体は今後も契約更改が可能か撤退、倒産はないか、北電は来年も通常料金で契約するのかいますぐに確認してください。
また、これほどの電気料金高騰に対抗するには国も自治体も全施設を一気にLED化するしかありません。多分電気料金が3割値上がりしてもその値上げ分をLED化の削減分で吸収できると思います。
ただし、すぐに着手しないと3年後に迫った蛍光管の生産終了に間に合わずLED自体も値上がりし品不足も想定されます。 議会で電気料金問題がクローズアップされるときのために。
以下、道内経済誌の来月号に掲載予定の原稿をお送りします。ご参考にしていただければ幸いです。


電気料金高騰で電力自由化は崩壊
-北電単価の2割増では経営が成り立たない-


1990年橋本内閣は欧米に比べて2割高い日本の電気料金を引き下げるために電力自由化を打ち上げた。9社独占体制に対して発電事業者の参入解禁を経て2000年には電力小売販売も開始され2016年には一般家庭まで自由化が拡大された。北海道は2011年の東日本大震災の泊原子力の停止の影響で3割もの料金値上げを行い、北ガスをはじめとする新規参入電力に少なからぬシェアを奪われている。ところが、ここに来てロシアのウクライナ侵略による原油、LNG価格の高騰が誰も想定していなかったとんでもない事態を引き起こしている。


先進国で一番高い電気料金に

ロシア侵略の影響で原油価格が高騰し、電気代がうなぎのぼり状態にある。燃料費調整制度という電力会社には便利な制度で、毎月気づかない内に原油値上げ分は全て電気料金に転嫁されている。
北海道電力の場合は事務所ビルやホテル・学校・病院などに適用される契約種別の業務用電力を例にとると、電力量単価@18・45円に対して6月の燃料費調整単価は@1・85円で来月以降もさらに上がるはずである。東日本大震災の2011年で3割の大幅値上げのあと「泊発電所が再開するまで」という約束の下に1度も値下げしないまま、今回もしも燃料費調整制度の上限係数1・5を超えると次回は規程料金の本格値上げ申請になる。総発電出力の3分の1を占める原子力発電所が11年間休止したまま毎年巨額の費用がかかりながらも再稼働の目処がついていないのだから、どんなに企業努力をしても値上げせざるを得ないだろう。電気料金値上げは北電だけのせいではない。原油高も為替も環境税も関わっている。
ゼロカーボン北海道の期待の星である太陽光、風力、バイオマス発電などの買取価格に充当される再生エネルギー活用促進賦課金(FIT)は2012年に「一家庭当たり月100円程度の負担だから」と@0・12円/kWhで通した法案が、こちらも毎年自動積算され今年はなんと30倍の@3・45円/kWhになっている。それだけ日本中で太陽光や風力が増えたのだから慶祝すべきと考えるべきだろう。ただし北海道は広大な土地を持っていても系統連携の制限で再エネプロジェクトの多くが挫折している。これでは本来北海道の事業者にメリットがあるはずのFITの買取でもとり負けしていないか。再エネ賦課金は2012年の3割値上げの時と同じで政策的料金制度に配慮せず同じ単価を適用するというズボラな制度だから、業務用ならば18.45円に対して2割がカーボンニュートラルへの負担、原油上昇の燃調単価を加えると3割の値上げである。2010年の規程業務用単価12.29円に燃調▲1.16円で11.13円の電力量単価に比べると、2022年6月は規程単価18.45円に燃調1.85円と再エネ賦課金を加え23.75円で53%のアップさらに基本料金の値上げもあり、およそ6割の値上げである。
もちろんこのレベルは全国一であり、日本は燃料を全て輸入に頼っているのだから当然先進国の中でも最も高い電気料金になる。さらに50年前水準の円安である。輸入コストは為替でも上がる。電気料金はこれからさらに値上がりせざるを得ない。もしもこれに電力難民として最低保障約款が適用されるとなんとこの2割増し! である。


まさかの最低保障約款

電気料金高騰で企業経営、産業生産、国民生活に深刻な影響が現れつつある中で、さらに最新の情勢ではとんでもないことが起きている。
電気料金削減に意識の高い企業や自治体が早くから取り組んでいた新電力への切り替えが、原油価格上昇による新電力倒産により契約を北電に戻す事態が起きている。戻せればまだよいが、自治体入札でも辞退が相次ぎ、もしも北電が入札参加しなければその自治体は電力難民となる。北電が通常料金での契約を拒否して最低保証約款を適用するとなると政府も想定しなかった非常事態である。本来安かった新電力から日本一高い北電に戻り、さらにその2割増しである。これでは製造業は成り立たない。倒産する会社も出るのではないか。北電の2割増しのレベルですら価格競合できないような新電力、発電所を持たない新電力会社を参入させた電力調達の仕組みが間違っていたか、全国電力プールを目指した発送電分離の競争市場制度が間違いだったのだろうか。
ただ、最低保障約款は本来は新電力に移行した需要家が今回のように契約会社が倒産したときなどのセーフティネット、ラストリゾート救済措置である。いくら想定外の事態だとしても国の作った制度で企業が潰れていくという事はあってはならない。北電の供給力が足りないとか発電コストが上がったから受け付けられないということではなく、「よその電力だったお客なのだからこいつらは高い値段でもいいじゃないか」という理屈は許されない。事情は違うが、2016年に日本ロジスティック共同組合が倒産し北電が1600社、33自治体に送電停止予告を出したときのような混乱のないように需要家に対応すべきである。今まで経営コストを考えて、自治体財政を考えて新電力に移行した企業や自治体が東京電力の25%増し、関西電力の30 %増の電気料金を払っている北海道でさらにその2割増に電気契約を変更しなくてはならなくなる。株主や市民が納得するはずもない。さらに今後の原油価格の値上がりで次回は本格値上げが避けられない。これでは北海道の製造業も食品加工業もサービス業も一次産業も成り立たない。今度は電気料金高騰を原因とした価格転嫁で北海道のあらゆる価格が上昇していく。今回のエネルギー高騰は国際戦争を原因としている。産業界にも経済界にも電力会社にも罪はない。コロナに国家融資が出たように、ガソリンに政府補填が出ているように電気料金にも政府の緊急対策が必要である。


いま出来ることはなにか

国の電力自由化制度は明らかに失敗した。国と道はセーフティーネット措置を今すぐ検討すべきである。産業界も国民も自分の身は自分で守らなくてはならない。SDGsとかカーボンニュートラルとか格好の良いポーズではなく、自分の会社を守らなくてはならない。いますぐ打てる手を打たなくては経営が危ない。絞り尽くしているはずだがまだ省エネの余地はある。「いま出来ることは蛍光管の間引きとこまめなスイッチオフである」などと誰かが言い出しそうだが、それは11年前の東日本大震災の時の話である。この11年間で照明をLED化してこなかったことこそが経営者と首長の省エネ対策のサボタージュである。LED化は照明使用量の7割近くの省エネであり、省エネ投資が数年で回収できる脱炭素対策の中でも最も現実的な対策である。今ここまで追い詰められるまでなぜ手付かずであったか。さらに、さらに、このLED化でさえ今資材不足と値上げに直面している。
原油高と円安、コロナによるサプライチェーンの停滞・閉塞、コンテナ輸送の逼迫によりあらゆるものが値上がりする中で、LED各メーカーもこれから2割から3割の値上げを予定しているようだ。電気工事単価も人手不足で値上げせざるを得ない。半導体など部品不足でいま発注しても年内着工が危ぶまれ、さらに事態は悪化する一方だという。
東日本大震災の輪番停電まで行った電力逼迫から11年。こんな事態となる前にいままでなぜ手を付けないでいたのか。一方で、ほとんどの人の念頭にないようだが2019年に安定器と照明器具が生産終了されたときに照明業界は「あと6年は蛍光管を製造する」と約束した。何らかの措置を取らないとあと3年で蛍光管がなくなる。蛍光管がなくなると今の管が切れるたびに定価でLED器具に交換するという最も愚かで馬鹿馬鹿しい選択とならざるを得ない。
これを放置してきたのは経営の放漫であり自治体の失政に他ならない。まだLED化していない施設がどれだけあって全部をLED化するのにいったいいくらかかるのか。蛍光管が2025年になくなるとしたらその対策をどうするのか。民間の経営者は今すぐ部下に指示を出すべきであり、首長はプロジェクトチームを立ち上げるべきである。北海道の自治体のほとんどは「ゼロカーボン北海道」の掛け声をきっかけにオールLED化の検討を始めている。すでに30以上の市町村がオールLED化を成し遂げ、数十の自治体は今年度の着工を計画している。札幌市も北海道も500から2000もの施設が残っているという。政府の施設も大学も病院もほとんどが手をつけられていない。今のままの考え方のままで、これらを蛍光管がなくなる前に間に合わせるのは不可能である。資金調達方法だけでなく膨大な量になるLED資材の調達と電気工事業界の人手不足をどう解決するかにもかかっている。
特に札幌市と道には2030年の冬季オリンピック誘致の誘引力としてもオールLEDの開催地をアピールして欲しい。ゼロカーボン都市宣言をしている63自治体も宣言していない自治体も緊急事態であることを認識し、組織の中の「やりたくないオバケ」を退けて、今すぐに全施設の見積もりをして急ぎ議会にかけるべきである。


極致の行革であるリース方式

新たな予算を使わずに街中が明るくなって、地元の電気工事業界に特需が生まれて、さらに自由に使える財政メリットがある。それがリースによる一括のLED化である。それが電気料金高騰への今すぐできる唯一の対策であり、その結果としてついでに大きなカーボン削減が付いてくる。
民間であればリース手法は常識であるが、与信の獲得と長期の分割が難しい。それに比べて自治体の場合はリース会社は喜んで低料率で資金を立て替える。自治体の場合には高くなった電気料金をLED化で70%以上削減する大きな削減額の範囲でLED化し、さらに福祉や教育やコロナ対策に使える予算が余るのである。一つ一つの施設を建築発注で価格見積もりをしていくという考え方を切り替えて、民間手法でリース器具の取り付け手数料だと考えれば工事費も2分の1から3分の1程度に削減できる。数百回の工事と入札をたった1回のリース発注で考えることで膨大な手間と人件費と工事費が浮く革命的行政改革が成し遂げられる。
これ以上電気代が値上がりする前に、LEDが値上がりする前に、蛍光管が無くなってしまう前に、発電能力のない新電力から契約解除の通知が来て2割増しの電力難民になる前に、今すぐ検討するべきである。
あかりみらいは、膨大な施設を現地調査する事は不可能であるが照明配置図面を送っていただければ数週間で議会説明できるレベルの試算分析をお送りする。
このモデルは北海道の多くの自治体から評価され実践されているだけでなく、全国の自治体にも広がり、東京23区や大阪府の自治体からも試算依頼が増えている。経営者も自治体首長も、とにかく今電気料金高騰による財政危機に直面していることを認識して即時の対策を指示するべきである。

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